【ジオ用語解説】LPWA:低消費電力でkm単位の広いエリアに通信できるIoTネットワーク

LPWA(Low Power Wide Area:省電力広域ネットワーク)は、IoT用のネットワークとして近年注目されている無線通信技術です。

スマートフォンなどで使われている既存のセルラー(携帯電話)通信とは異なり、低消費電力でキロメートル単位の広いエリアを対象にした技術で、「通信速度は低速で、送信できるデータ量も少なくていいが、消費電力が少なく広大なエリアで多くのデバイスとの通信を行いたい」という用途に向いており、セルラー通信網が整備されていない山岳部などでも利用可能です。

緯度・経度・高度などの位置情報はデータ容量が少ないためLPWAとは相性が良く、セルラー通信網に対応した従来のGPSトラッカーよりも低コストで運用できることから、GPS受信機とLPWAの通信機能を組み合わせたGPSトラッカーやそれを使った見守りサービスが近年増えつつあります。

機器を購入すれば使える「アンライセンス系」と国の免許が必要な「ライセンス系」

LPWAには大きく分けて「アンライセンス系」と「ライセンス系」の2種類があります。

アンライセンス系のLPWAは非セルラーLPWAとも呼ばれており、無線局免許が不要で利用可能な方式で、出力が規定内であれば基地局の設置なども自由に行えます。

一方、ライセンス系のLPWAはセルラー通信を用いる規格で、「セルラーLPWA」とも呼ばれています。国から免許を受けた大手通信事業者が提供するLPWAで、LTEの周波数帯を利用しています。

アンライセンス系とは異なり、無線局の免許が必要でコストも高いですが、既存のLTE基地局を利用するため、新たに基地局を設置する必要がなく、既存のLTEのサービスエリアに対してすぐにサービスを提供できます。また、各通信事業者に割り当てられた専用の周波数で通信を行うために安定した通信が可能です。

代表的なLPWAの規格を紹介

LPWAにはさまざまな規格があり、ここではアンライセンス系LPWAとして「LoRaWAN」、「Sigfox」、「ELTRES」、「ZETA」、ライセンス系LPWAとして「LTE-M」および「NB-IoT」を紹介します。

LoRaWAN【ローラワン】

LoRaWAN

無線の周波数変調方式「LoRa」を開発した米Semtech社が中心となって設立された“LoRa Alliance”によって策定されているオープンな技術仕様で、専用ネットワークサーバーを使用して異なるメーカーの機器同士で通信を行えます。

通信速度は最大250kbps程度で、デバイスから基地局への片方向だけでなく、双方向でデータをやり取りすることも可能です。LoRaWANゲートウェイを通じてネットワークサーバーと接続するためには、別途通信事業者と契約する必要があります。

なお、同じくLoRa変調を使用した無線通信規格として「LoRa(プライベートLoRa)」がありますが、こちらは会社ごとに独自の通信プロトコルを使用するもので、ゲートウェイの購入や設置は自前で行う必要がありますが、デバイスからゲートウェイまでの通信コストは不要となります。

LoRa Alliance
https://lora-alliance.org/

Sigfox【シグフォックス】

Sigfox

フランスのSIGFOX社が提供するLPWAネットワークで、グローバルで72カ国に展開(2020年11月現在)しており、日本では京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)が取り扱っています。

通信速度は約100bps、通信距離は最大約50km。通信は双方向ではなく、デバイスから基地局への片方向だけとなります。Sigfoxはグローバルで統一されたネットワークのため、開発したIoTソリューションをそのままグローバルに展開することができます。

Sigfox
https://www.sigfox.com/en

ELTRES【エルトレス】

ELTRES Technology

ソニーセミコンダクターズソリューションズによるIoTネットワークサービスで、送信電力は20mW、通信距離が見通し100km以上と長く、時速100km以上の高速移動体にも対応している点が特徴です。

端末から基地局への片方向通信に限定することで送信端末の低消費電力を実現しており、コイン電池1個で動作が可能です。独自技術によりノイズの多い都市部でも高感度な通信が可能で、送信機と受信機間でGPSの時刻情報を同期することで、高精度な通信を実現しています。

ELTRES Technology
https://www.sony-semicon.co.jp/products_ja/eltres/

ZETA【ゼタ】

Zeta Alliance

超狭帯域(UNB:Ultra Narrow Band)による多チャンネルでの通信が可能なLPWA規格で、マルチホップ通信が可能なため、電池駆動が可能な安価な中継器を使ってメッシュネットワークを構築し、広いエリアをカバーできます。

LPWAの基地局を設置するには電源工事などが必要で、時間とコストがかかりますが、ZETAでは中継器を置くだけで通信エリアを構築することが可能です。また、双方向通信にも対応しています。

Zeta Alliance
https://zeta-alliance.org/

LTE-M/NB-IoT(セルラーLPWA)

LTEの空いた帯域を使うことで、LPWAのように省電力かつ広範囲のIoTネットワークを提供する方式で、ドコモやKDDI、ソフトバンクなどの大手通信事業者が提供するIoT向けLPWAサービスで採用されています。

LTE-Mは上り/下りの速度が1Mbps程度で、移動時に電波を受信しやすい基地局に切り替えながら通信を継続するハンドオーバーが可能なため、移動時でも比較的大きなデータを安定して送信する用途に向いています。

NB-IoTは通信速度が下り27kbps/上り63kbps程度と遅いですが、デバイスを小型かつ安価に設計できます。

URL

LoRa Alliance
https://lora-alliance.org/

Sigfox
https://www.kccs-iot.jp/

ELTRES Technology
https://www.sony-semicon.co.jp/products_ja/eltres/

Zeta Alliance
https://zeta-alliance.org/