月刊Graphia 2025年6月号(2025年5月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2025年5月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
国土交通省、道路に関するデータを提供する「道路データプラットフォーム」を公開

国土交通省は5月12日、道路に関するデータを提供する「道路データプラットフォーム」を公開しました。
同プラットフォームは、道路システムのDXを目指す取り組み「xROAD(クロスロード)」の一環として、道路に関する基礎的なデータを一元的に集約し、幅広く提供することを目的としており、データの概要や閲覧可能なリンク、連携するAPI仕様書などを確認できるポータルサイトと、各データを一元的に表示し、地図上で可視化できるウェブマップ「道路データビューア」の2機能で構成されます。
道路データビューアでは、全国約2600カ所で観測される交通量を最速30分前からリアルタイムに公開するほか、ETC2.0から収集される全国の道路約20万kmの平均旅行速度が毎月更新され、最長1年分公開します。このほか、都道府県ごとのOD交通量や道路属性データ、一般財団法人 日本デジタル道路地図協会が提供する道路地図データベース「DRM-DB」、一般財団法人 日本みち研究所が提供する全国道路施設点検データベースなども提供します。
国土交通省は同日、全国の直轄国道で機械観測されている方向別交通量を取得できる交通量データのAPIも公開しました。公開するデータは、常設型のトラフィックカウンターおよびCCTV映像を活用したAI型のトラフィックカウンターにより全国約2600カ所で機械観測された直轄国道の方向別交通量データのうち、一定の精度が確保されている交通量データで、交通量データと観測地点の位置情報を組み合わせたものとなります。5分間値と1時間値の2種類を提供し、5分間値は現在時刻の約20分前から過去1カ月分、1時間値は約20分前から過去3カ月分が対象となります。
同APIは公益財団法人 日本道路交通情報センター(JARTIC)のウェブサイトを通じて提供され、無料で利用可能ですが、利用に際しては規約への同意が必要となります。
日本郵便、住所を7桁の英数字で表現できる新サービス「デジタルアドレス」を提供開始

日本郵便株式会社は5月26日、住所を英数字で表現できる新サービス「デジタルアドレス」を提供開始しました。
同サービスは、日本郵便が提供する無料のID「ゆうID」に登録している住所を7桁の英数字に変換できるサービスです。郵便番号を含む都道府県や町域、建物情報など住所の全文を簡易に表現することにより、住所入力の簡略化や各種サービスにおける利便性の向上を目的としています。
対応する各種サービスにおいてデジタルアドレスを利用することにより、自分の住所を示す手段として長い住所を書く手間が無くなり、記入ミス防止にもつながります。また、デジタルアドレスは住所そのものではなく、個人のゆうIDに紐付いており、引越などで実際の住所が変更になった場合でも、登録している住所を変更するだけで同じデジタルアドレスを使い続けることができます。
利用方法は、ゆうIDに登録することで自身のデジタルアドレスを無料で取得できます。サービス開始時点では、郵便局アプリのゆうパック・ゆうパケットの「送り状作成機能」で利用可能で、同アプリにおいてデジタルアドレスの入力欄に7桁の英数字を入力することで登録済みの住所が自動で反映されます。なお、宛名としてデジタルアドレスの記載のみで郵便物・荷物を送ることはできず、デジタルアドレスのほかに郵便番号、住所または居所および氏名の記載が必要となります。
同社は今後、日本郵便内外においてサービス連携の拡大を予定しており、事業者向けの「郵便番号・デジタルアドレスAPI」の無料提供も開始しました。さまざまな事業者が同APIを導入することにより、デジタルアドレスを住所に変換することが可能となり、日本郵便以外のサービスでもデジタルアドレスを利用できるようになります。
Geolonia、地図を使ってプログラミングを学べる「地図ぼうけんラボ」ベータ版を提供開始

株式会社Geolonia(ジオロニア)は5月8日、地図を使った教育向けのプログラミングサービス「地図ぼうけんラボ」のベータ版を提供開始しました。ウェブサイトから無料で申し込みを行えます。(申込多数につき、現在申込を停止)
同サービスは、デジタル地図とプログラミングツール「Scratch」を組み合わせたプログラミングサービスで、地図を表示し、キャラクターや物を配置するだけでプログラミングを行えます。観光ルートの作成や防災ハザードのシミュレーション、環境調査マップなど、自分の住む地域を拠点としてプログラミングを学ぶことができます。
地理院地図の背景地図や空中写真、ハザードマップ、国土数値情報の都市計画情報や施設情報を利用可能で、Geoloniaの地理空間データ連携基盤を導入した自治体であれば自治体が管理・保有するデータも利用できます。
ナイトレイ、人流データと道路走行データを活用した道路維持管理支援サービスを提供開始

株式会社ナイトレイは、人流データと道路走行データを活用して道路インフラの維持管理業務を支援する新サービス「CITY INSIGHT道路維持管理支援サービス」を提供開始しました。
同サービスは、人流データおよび乗用車や商用車の道路走行データ(プローブデータ)を用いて道路別の車両走行実態を定量分析することにより、道路補修やインフラ工事の実行順序選定を支援するサービスで、主に道路管理業務を担う地方自治体や民間企業が道路維持管理計画の策定時に活用できます。
対応するデータは、本田技研工業株式会社(Honda)が提供する「Honda Drive Data Service」の乗用車プローブデータ、株式会社Agoopの通行量データ(流動人口データサービス)、日野自動車株式会社の商用車プローブデータ、矢崎総業株式会社の商用車プローブデータなどで、他のデータについても随時連携する予定としています。
地方自治体が行っている道路維持管理業務では、道路の巡回業務や、特殊な機器や専用の計測車両による道路の点検、必要箇所への修繕などが行われており、各自治体では予算や人的リソースが限られる中、重要度や緊急度に応じて点検調査の優先順位を決めて、順番に改良・修繕を進めることで効率的に道路の維持管理を進めることが求められています。
「CITY INSIGHT道路維持管理支援サービス」では、乗用車や商用車の道路走行データを使用して道路の利用状況を分析・可視化することにより、点検調査や道路補修の重要度・優先順位付けを自治体担当者の肌感覚ではなくデータとエビデンスに基づいて実施するための根拠を提供します。
ダイナミックマッププラットフォーム、3次元点群閲覧サービス「3Dmapspocket」をリニューアル

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社は5月27日、3次元点群データを閲覧できるサブスクリプションサービス「3Dmapspocket」の機能アップデートを実施しました。
同サービスは、ダイナミックマッププラットフォームが取得した全国の高速道・自動車専用道路および主要幹線道路の3次元点群データを確認・分析できるデータプラットフォームです。今回のリニューアルにより、視認性の高いデザインに改善するとともに、ユーザーの使用頻度の高い機能への導線をスムーズにして直感的に使えるUIに刷新しました。
また、今後のユーザーのグローバル化に備えて英語での表示機能を実装したほか、読み込み速度の向上や、操作を「元に戻す」「やり直す」機能の追加などの改良も行っています。