【ジオ用語解説】国土数値情報

国土数値情報とは、国土や土地・不動産、まちづくりなどに関する基礎的な情報をGIS(地理情報システム)で使用するデータとして整備したもので、点(ポイント)、線(ライン)、面(ポリゴン・メッシュ)のデータで構成されます。国土交通省が運用する「国土数値情報ダウンロードサイト」(https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/)から無償でダウンロードすることが可能で、QGISやArcGISなどのGISソフトウェアで使用ができます。

国土数値情報ダウンロードサイト

国土数値情報は、国土に関する基礎的な情報の総合的・体系的な整備および分析支援を目的として、旧国土庁によって1974年からデータ整備が開始されました。以前は内部および公共機関、研究機関などに限定して提供されていましたが、インターネットの普及にともなって2001年から一般向けに公開されています。

ファイル形式については当初、数列のテキスト情報として提供されていましたが、2005年からはGML形式での提供が開始され、2010年にはSHP(シェープファイル)形式が加わり、現在はそれにGeoJSON形式をあわせた3種類の形式で提供されています。

国土数値情報には大きく分けて以下の5つの分野のデータがあり、2025年4月現在で約190種類が整備されています。

  • 海岸線や河川、土地利用、森林地域など国土に関するデータ
  • 行政区域や洪水浸水想定区域、人口集中地区などの政策区域データ
  • 地域:市町村役場、公共施設、学校、医療機関、世界自然遺産など観光資源のデータ
  • 道路、バスルート、鉄道、駅別乗降客数、空港、港湾などの交通関連データ
  • 将来推計人口など各種統計に関するデータ

国土数値情報ダウンロードサイトでは、国土数値情報の各種データをダウンロードできるだけでなく、一部のデータはGISソフトウェアを使わずにウェブ地図上にデータを可視化することもできます。上部メニューの[地図で見る]→[ウェブマッピングシステムを起動]を選択すると地理院地図を葉池地図とした「国土情報ウェブマッピングシステム」が表示され、左メニューより表示するデータを選択することで地図に反映されます。

国土情報ウェブマッピングシステムで「都市地域土地利用細分メッシュ」を表示

このほか、不動産に関連した情報を集約した「不動産情報ライブラリ」でも国土数値情報の一部データを表示することができます。

国土数値情報は新たなデータの公開や既存のデータの更新・追加が順次行われており、2025年度には以下のデータが5月30日から順次公開されています。

  • 災害リスク:洪水浸水想定区域(河川単位/1次メッシュ単位)、土砂災害警戒区域、津波浸水想定、高潮浸水想定区域、多段階浸水想定、雨水出水(内水)浸水想定区域
  • 交通インフラ:緊急輸送道路、鉄道、鉄道時系列、駅別乗降客数、高速道路時系列
  • 都市計画:都市計画決定情報
  • 行政地域:行政区域、位置参照情報
  • 地価:都道府県地価調査、地価公示

さらに2026年度には、以下のデータが公開される予定です。

  • 災害リスク:洪水浸水想定区域(河川単位/1次メッシュ単位)、土砂災害警戒区域、津波浸水想定、高潮浸水想定区域、多段階浸水想定、雨水出水(内水)浸水想定区域、宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域
  • 交通インフラ:道路、鉄道、駅別乗降客数
  • 都市計画:都市計画決定情報

国土交通省では近年、国土数値情報の活用推進に取り組んでおり、2024年度にはユーザー拡大やニーズ把握を目的としたデータ分析コンペティション「第1回 国土交通省 地理空間情報データチャレンジ ~国土数値情報編~」と、ニーズ把握を目的としたイベント「第1回 国土数値情報 オープンデータラウンドテーブル」を開催しました。

国土数値情報の活用方法としては、GISソフトウェアに読み込ませることで民間企業が商圏分析やエリアマーケティングなどに利用できるほか、交通や不動産、観光など様々な分野において地理空間情報を活用したウェブサービスやアプリの開発にも利用できます。

さらに、国や自治体が国土計画や都市計画を行う上で分析する際に利用できるほか、学術研究やメディアによる情報発信など、地理空間情報に関連した様々な取り組みにも利用できます。これらの多種多様なGISデータを活用して、ぜひ自分のビジネスに活用してみてはいかがでしょうか。

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