【ジオ用語解説】地籍調査

地籍調査とは、市町村などの地方公共団体が中心となって一筆(人為的に分けられた土地の区画の単位)ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査のことで、国土調査法に基づく「国土調査」の1つとして実施されています。“地籍”とは土地に関する戸籍のようなもので、固定資産税の算出など行政のさまざまな行政事務において活用されています。地籍調査のために行う測量作業を“地籍測量”といいます。

日本では土地に関する記録は登記所で管理されており、一筆ごとに登記が行われて土地取引などの単位となっています。ただし、土地の位置や形などを示す情報として登記所に備え付けられている地図や図面(登記所備付地図)は、その半分ほどが明治時代の地租改正時に作られた“公図”と呼ばれるものであり、境界や形、面積などが現実とは異なっている場合が多くあります。地籍調査が行われることで、その成果をもとに登記簿の記載が修正されて正確なものに改められます。

これにより土地の境界を現地に復元することが可能となり、境界に関する紛争を防止できることに加えて、土地取引の円滑化や土地資産の保全を図ることも可能となります。地籍調査が行われていない土地の場合、土地取引の際にトラブルが発生する可能性があるほか、都市開発を阻害する要因となったり、災害が発生した際に復旧・復興が遅れたりと、さまざまなトラブルが発生することがあります。

地籍調査の進捗状況と課題

地籍調査は1951年から行われており、国土交通省の発表によると2024年度末時点で進捗率は53%で、そのうち土地利用や土地の取り引きが行われる可能性が低い地域を除いた“優先実施地域”の進捗率は81%となっています。地域間の進捗の差も大きく、北海道や東北、九州の各地方では調査が比較的進んでいるのに対して、関東、中部、北陸、近畿では進捗が遅れている府県があります。また、いまだに調査未着手の市町村や、過去に地籍調査を実施していたものの現在は調査を休止している市町村もあります。

地籍調査が進まない要因としては、地籍調査には多くの時間と手間がかかることに加えて、調査の対象地域がこれまでよりも困難な地域へと移行してきているという事情があります。また、地方公共団体の財政状況の悪化などの理由で必要な予算や職員の確保が難しくなってきているという事情もあります。このほか、都市部において土地の資産価値が高いために境界の確認に時間を要することや、住民の立ち会いなど調査への協力が得られない場合があることも要因のひとつです。

地籍調査の実施状況に関する情報は、国土交通省の「地籍調査Webサイト」(https://www.chiseki.go.jp/index.html)にて公開されているので、詳しい内容はこちらをご覧ください。なお、同サイトでは実施状況を可視化した「地籍調査状況マップ」(https://www.chiseki.go.jp/map/index.php)や、都市部の公図と現況のずれの情報を調べられる「公図と現況のずれ公表システム」(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/chirikukannjoho/gaikuchousa_index.html)も提供しています。このほか地籍調査の着手・再開・休止・完了状況(https://www.chiseki.go.jp/situation/index.html)なども確認できます。

地籍調査Webサイト(https://www.chiseki.go.jp/index.html
地籍調査状況マップ(https://www.chiseki.go.jp/map/index.php

地籍調査の推進施策

地籍調査の推進施策として、1962年に国土調査促進特別措置法が制定され、これに基づいて1963年から国土調査事業十箇年計画が策定されました。これにより長期的な視点に立った計画的な地籍調査が全国的に行われるようになり、2020年には国土調査事業十箇年計画の第7次計画が閣議決定されました。

第7次計画は、2020年3月に成立した「土地基本法等の一部を改正する法律案」に基づいて決定されたもので、改正法には調査手続の見直しに加えて、都市部における官民境界の先行的な調査や、山村部におけるリモートセンシングデータを活用した調査(航測法を用いた地籍調査)など地域特性に応じた効率的調査手法の導入を行うことが盛り込まれています。

新技術の導入と各地の取り組み

また、地籍測量において土地の境界を示す「筆界点」の位置を測量する場合に、これまでは地上において距離と角度を測定する測量機器「トータルステーション」が用いられてきましたが、近年はGNSS測量が普及したことにより、地籍測量にもGNSS測量の本格的な導入に向けた取り組みも進められています。

国土交通省ではこのほかに、地籍測量を実施している市町村において研修を実施したり、地籍調査に関する高度な知識を持つ“地籍アドバイザー”を派遣したりするなどの支援活動も行っています。また、2025年には、地籍測量に効率的・効果的に取り組む地方公共団体や事業者を対象とした表彰制度「ミチセキアワード」(https://www.mlit.go.jp/michiseki-award/)も実施し、2025年度は津市(三重県)が大賞に選ばれました。

津市では自治体における財源・人員不足や職員・住民の認識が課題となっており、市長の強力なリーダーシップのもとにメリハリを付けた調査区域の設定や市独自のビジョン策定による関係者の意思統一、事業期間の短縮、関係者の連携による推進体制の構築、MMSやリモートセンシングなどの新技術を活用した効率的な調査手法の導入、自治体予算と人員の拡充、積極的な広報など多面的・多角的な取り組みの姿勢が高く評価されました。このように、近年では各地域において地籍調査を推進するための様々な取り組みが行われています。

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