月刊Graphia 2025年9月号(2025年8月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2025年8月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
不動産情報ライブラリ、「人口集中地区(DID)」データを新規追加

国土交通省は8月27日、不動産に関する情報を調べられるウェブサイト「不動産情報ライブラリ」に「人口集中地区(DID)」データを追加するとともに、APIでの提供を開始しました。
不動産情報ライブラリは、不動産の取引価格や地価公示等の価格情報、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報など不動産に関する情報を地図上で確認できるウェブサイトです。
「人口集中地区(DID)」は、国勢調査の基本単位区を基礎単位として、市区町村の境域内で人口密度の高い地域として設定された情報で、今回掲載する情報は2020年国勢調査の結果をもとに整備した国土数値情報のデータとなります。
また、同サイトでは2024年度整備の都市計画情報データのうち「都市計画区域」、「区域区分」、「用途地域」、「高度利用地区」、「防火・準防火地域」、「地区計画」、「立地適正化計画」のデータを8月27日に更新しました。
国土地理院、旧版の紙地図を画像データとして9月に提供開始

国土地理院は、旧版の紙の地形図を画像データとして9月1日に提供開始すると発表しました。価格は1図葉につき610円(税込)で、オンラインにて1図葉単位で提供します。
対象となるのは2万5千分1地形図および5万分1地形図のうち、柾判サイズで整備してきた地図で、現在、紙地図で刊行中のものは除いたものとなります。画像のファイル形式はTIFFで、画像サイズは約460×580mmです。
印刷された地図が青や茶など黒色以外の色を使用している場合はカラー、黒色1色の場合はモノクロのデータとなり、ファイル容量はカラーが約100~500MB、モノクロが約1~10MBです。解像度は600dpiまたは400dpiで、400dpiのものは1991年以前に刊行されたモノクロの地図の一部が対象となり、今後は順次600dpiに切り替える予定です。
ダイナミックマッププラットフォーム、北米でHDマップのカバレッジを150万kmに拡大

ダイナミックマッププラットフォーム株式会社は8月20日、同社のグループ会社であるDynamic Map Platform North Americaとともに、北米における高精度3次元地図(HDマップ)のデータを新たに約30万km整備し、データカバレッジを約150万kmに拡大したと発表しました。
同社が整備完了した北米における約150万kmのHDマップのデータには、米国およびカナダの高速道路や幹線道路が含まれています。同社は今後、車の自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けにこれらのデータを提供する方針です。今回の拡大により、同社が保有するデータはグローバルで合計約180万kmに達しました。
Dynamic Map Platform North AmericaのCEOを務めるChris Thibodeau氏のコメントによると、同社のデータの利点として、北米にある28000軒以上の自動車販売店のうち99%が、同社がマッピングした道路から1マイル(約1.6km)以内に位置しているとのことです。これにより、高度なADASを搭載した車両に顧客が簡単に試乗できる環境を提供することが可能となります。
竹中工務店など3社、空間IDを活用した建設現場のロボット運用システムを開発

株式会社竹中工務店とNTTドコモビジネス株式会社、アスラテック株式会社の3社は、空間IDを活用した建設現場のロボット運用システム「ロボットナビゲーションシステム」を開発したと発表しました。
3社は2022年から空間IDを活用したロボット運用システムの開発に着手し、四足歩行ロボット「Spot(スポット)」などを用いて建設現場を巡回させる実証実験を実施してきました。
今回開発したシステムは、NTTドコモビジネスが提供する建設現場の作業間調整を支援するサービス「tateras(タテラス)作業間調整」と、空間IDの3次元位置情報を組み合わせることにより、建設現場内におけるロボットの自律移動を可能にするシステムです。
tateras作業間調整に入力される建設現場の図面および作業箇所や重機の位置、資機材の搬出入などの施工管理情報をもとにマップを構築し、空間IDを活用してロボットの移動ルートを設定できます。tateras作業間調整は、施工管理情報に対して開始・終了時刻と実スケール(mm単位)を付与できるため、ロボットの走行計画の作成時に走行可能な十分なスペースが確保できるかを施工状況と照らし合わせながら柔軟に計画できます。
これにより、日々の工程に応じて変化する立入禁止区域や養生エリアなど、ロボットの点群マップだけでは走行可否判断が難しい建設現場においても高精度なルート計画および自律移動が実現できます。
ロボットの移動空間に対しては、3次元空間上の位置を指定できる空間IDを用いることで、屋内外や上下階の移動が生じる複雑な建設現場でも各エリアで生成されたマップを統合し、シームレスな自律移動を行えます。空間IDをシステム間連携の共通言語として活用することにより、異なる種類のロボットや複数台のロボットの同時運用を実現します。
Spectee、製造業のサプライチェーン・リスクを可視化する「スマートリスク管理」を提供開始

株式会社Specteeは8月26日、製造業のサプライチェーン・リスクをリアルタイムに可視化する新ソリューション「スマートリスク管理」を提供開始すると発表しました。
同ソリューションは、有事の際に迅速にリスク情報を収集し、サプライヤーのつながりを可視化して自社製品への影響を把握できるクラウドサービスです。導入時の設定や画面操作をシンプルにしてコストを抑えることにより、大企業から中小企業まですべての製造業が活用できます。利用料は月額50,000円(税別)または年額500,000円(税別)です。
同社は2023年11月より、SNSや気象データ、全世界のニュース、地政学リスク情報などからサプライチェーンに影響を及ぼす危機情報をリアルタイムに収集し、納期への影響やサプライチェーンのリスクに対する統合的な管理を行う「Spectee SCR」を提供していますが、顧客の中からは「既存の運用体制の見直しや旧来型の基幹システムで管理されているデータの整備に時間がかかるため、もう少し手軽に始められるようにしてほしい」といった要望が多く寄せられていました。
今回提供開始する「スマートリスク管理」はこのような要望に応えるもので、リスク情報の収集とサプライチェーンの可視化・管理の機能に特化して、より安価で大企業だけでなく中小企業でも利用しやすいソリューションとして提供します。同社はスマートリスク管理の提供開始を記念して「最大半額キャンペーン」を実施します。