【ジオ用語解説】主題図
主題図とは
「主題図」とは、特定のテーマや事象に関係する情報を表示し、多様な表現を使ってわかりやすく視覚化した地図を意味します。主題図の表現手法は色分けやグラフ、大小の円、ドットなど多岐にわたり、これにより特定の情報を強調することで複雑な事象をわかりやすく伝えることができます。なお、主題図のように特定のテーマにフォーカスせずに様々な用途に使用する地図のことを「一般図」と呼びます。
ジョン・スノウのコレラ地図
主題図の例として有名なのが、1854年にイギリス・ロンドンで流行したコレラの患者の分布をドット表示で可視化した地図です。この地図は医師のジョン・スノウ氏が作成したもので、スノウ氏はこの主題図をもとに患者がある井戸の近くに多いことを発見し、コレラの原因がその井戸水にあることを見出しました。この研究は主題図を活用した空間分析の先駆的な事例であり、公衆衛生と地理学の歴史において重要な出来事として知られています。

主題図の種類
主題図の例としては、このほかに以下のようなものがあります。
・人口分布図
地域ごとの人口や密度を地図上で可視化した統計地図で、人口の数や増減により地域やメッシュごとに色分けしたり、円を配置して数の多さに応じて大きさを変えたり、人口の同じ地域を等高線として描いたりと、様々な表現手法があります。政府が運用する地域経済分析システム「RESAS(https://resas.go.jp/)」などで人口分布図を作成することができます。

・地質図
表土の下にある岩石や地層の分布を示す地図で、陸域だけでなく海洋を対象とした地質図もあります。資源開発や防災、土木・建築、環境対策、学術研究など様々な分野で活用されています。産総研地質調査総合センターが提供する「地質図Navi(https://gbank.gsj.jp/geonavi/geonavi.php)」などで見ることができます。
・植生図
植物群落の種類や分布状況を示した地図で、土地利用や森林管理、環境アセスメントなど様々な用途に利用されます。環境省が運用する「環境ジオポータル(https://geoportal.env.go.jp/)」などで入手できます。
・気候区分図
地域ごとに気温や降水量、植生などの気候的特徴によって分類し、色分けで示した地図のことで、ドイツの気候学者ケッペンによる気候区分図がよく使われます。
・ハザードマップ
自然災害による被害が想定されるエリアや避難所などを示した地図のことで、市区町村が作成・公開しています。地域ごとの浸水や土砂災害のリスクを確認することが可能です。国土交通省は災害リスク情報や地域ごとのハザードマップのリンクを調べられる「ハザードマップポータルサイト」(https://disaportal.gsi.go.jp/)を提供しています。

(出典:https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/maps/)
・交通図
鉄道やバス、道路などの路線や駅、停留所などの位置やつながりを示した図のことで、「路線図」とも呼ばれます。路線の形状や距離、縮尺などよりも駅・停留所・ICの順番や接続状況を優先し、シンプルな直線や曲線で描かれているものが多いです。道路や線路の路線ごとに異なる色を使うことでわかりやすい表現となっています。
・土地利用図
土地の利用状況を色分けして示した地図で、商業や工業、農地、林地などの利用状況を現地調査や航空写真、資料などによって調べて表現しています。
主題図は上記の他にも様々な種類があります。近年、クマが住宅地や市街地に出没する事件が増えたことにより、クマの出没地点を地図上にプロットした“クマ出没マップ”が各地で公開されていますが、これも主題図の一種と言えます。
主題図を募集して表彰する「Map Museum(https://www.mapmuseum.net/)」(主催:Map Museum運営委員会/365y株式会社)というプロジェクトもあります。同プロジェクトでは主題図を含む新たな地図表現を集積し、新たな制作活動を活発化することを目的としており、ウェブサイト上で様々な作品を公開しています。











