【ジオ展2021】ジオ専業ライターが選ぶ「ジオ界 10大ニュース」イベントレポート

地図位置情報関連の企業やサービスが一堂に会する展示会「ジオ展2021」が、4月23日に開催されました。

今回も前回に引き続きオンライン形式で実施され、地図や位置情報に関連する20の企業や関係者がオンラインで登壇しました。

graphiaでは、ジオ展の名物ともなりつつある、イベント最後の記念講演として行われた「勝手に選ぶ 2020-2021 ジオ界隈10大ニュース!」の内容をレポートします。

2020年11月から約5ヶ月の期間による重要ニュースを選出

記念講演に登壇したのは、地図や位置情報に関する国内の最新ニュースを配信する「GeoNews」主宰のジオ専門ライター の片岡義明さん。片岡さんには本メディア「graphia」での解説記事やインタビューでも寄稿いただいています。

「GeoNews」主宰の片岡義明さん

今回は2020年11月から2021年5月まで約5ヶ月に渡る期間の話題を対象として、ジオ展実行委員会である365yの小山文彦さんと協議た上で決定した10大ニュースが発表されました。

第10位:日本地理学会、「地理総合」必修化に向けたメッセージを発表

日本地理学会が2022年から高校で新たに「地理総合」が必修科目となることに向けて発表したメッセージが10位に選ばれました。

第10位:日本地理学会、「地理総合」必修化に向けたメッセージを発表  日本地理

日本地理学会会長の松原宏さんからは、地理総合の必修化について「グローバリゼーションによって社会が急激に変化している中、変化に対応する能力を身につけ、大規模災害への対応力が求められている」とコメント。地理総合で学ぶ国際社会の理解と災害・防災への理解が重要だと語りました。

さらに重要な点として、GIS(地理情報システム)などを用いて地図を使いこなすことにより、地理的な見方や考え方を身に付けて、さまざまな課題の解決策を見つけるアクティブラーニングを重視する教育へと変わっていくことに期待を表明しました。その上で、日本地理学会では今後も力を入れて「地理総合」をサポートしていくと抱負を語りました。

「地理総合」必修化に向けて企業も動いています。インフォマティクスは地理院タイルの地図を使用して、地理情報を色分けしたり、フィールドワークの情報を作図できるWebサービス「地史まっぷ(じーしーまっぷ)」の公式サイトを開設しました。

地史まっぷ

山川出版社と二宮書店も、社会科教員向けのコンテンツ配信webサービスを21年4月に提供開始。授業中でも簡単な操作で再生できる視聴覚コンテンツを6000点以上収録しています。

山川&二宮ICTライブラリ

ゼンリンは、プログラミングソフト「Scratch」のUIと地図を活用した小学生向けプログラミング教材「まなっぷ」の提供を3月22日に開始しました。

小学生向けプログラミング教材「まなっぷ」

第9位:JX通信社と東北大学、「新型コロナ時空間3Dマップ」を公開

JX通信社が独自に収集してる感染施設データを元に、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況を地図上で俯瞰的に確認できるように可視化。コロナ関連データがリアルタイムに更新され、流行の時間推移を流行地域の地理的位置とあわせて確認でき、感染状況を直感的に把握できます。

第9位:JX通信社と東北大学、「新型コロナ時空間3Dマップ」を公開

第8位:ダイナミックマップ基盤、整備路線を一般道路へ拡張した次世代のHDマップを導入

これまで提供していた高速道路と自動車専用道路に加え、自動走行や先進運転システムの普及を受けて、マップのエリアを一般道路まで拡大。国道を中心とした各地域の重要路線が対象で、23年度の導入後も対応路線を順次拡張予定。23年度は約8万km、24年度は約13万kmまで拡張予定です。

第8位:ダイナミックマップ基盤、整備路線を一般道路へ拡張した次世代のHDマップを導

さらに現在日本と北米向けで異なっているHDマップのデータフォーマットを統一予定で、これにより開発コストの削減などが期待されます。

第7位:「地図マピオン」iOS版が大幅リニューアル

新バージョンでは試用版として提供していたベクトルタイル形式の地図データがデフォルトとなり、選択画面で旧デザインを選ぶと従来のラスタータイル形式の地図に切り変えられることができます。片岡さんによれば、ベクトルとラスタータイプの両方を収録していて切り替えられる地図アプリは珍しいとのこと。

第7位:「地図マピオン」iOS版が大幅リニューアル

さらに町丁目単位で境界がはっきり見える「境界線マップ」、駅名がひらがなだけで表示されるの「えきのなまえマップ」、周囲より浸水リスクが高い「低位地帯」をチェックできる「防災マップ」、地形の陰影や等高線の表現に特化した「地形図」など、アップデート後に新しいマップが増えてきました。

画面上部にコンビニやコーヒー、ラーメン、駐車場など、日常生活で探したくなる11カテゴリが表示され、タップするだけで周辺情報が分かります。さらに地図上の距離を計測できる「円キョリマップ」、2月の節分の日に合わせて恵方がわかる機能も公開。

円キョリマップ

境界線マップはPC ブラウザ向けMapion Tech Labsでも公開されていて、日本百名山をリアルにした「3Dマップ」も公開されています。

第6位:クロスロケーションズ、位置情報ビッグデータのAI解析による「人流予測モデル」を開発

この予測モデルでは、1週間先までの人流変化および来訪者数を予測でき、天気予報や新型コロナウイルスによる影響など人流に変化を与える複数の要因を考慮した解析が可能です。

第6位:クロスロケーションズ、位置情報ビッグデータのAI解析による「人流予測モデル」を開発

今後予測モデルの品質を高めるためビッグデータを追加後、予測の信頼度を増していく方針で、信頼度の向上が確認できた段階で新しい機能として正式に提供開始する予定です。

第5位:ホンダ、HDマップを搭載したレベル3の自動運転車「レジェンド」を発売

レベル3はシステムがドライバに変わって運転操作を行うことができる領域で、ドライバーがよそ見したり、スマートフォンの操作が可能となりました。

第5位:ホンダ、HDマップを搭載したレベル3の自動運転車「レジェンド」を発売

レジェンドの場合、高速道路における渋滞時などの一定条件下に限り、レベル3の自動運転機能であるトラフィックジャムパイロットが使えるようになります。

また、レベル2の機能として、ハンドルから手を離した状態で車線の維持や車線変更できる機能、前方に遅い車がいた場合にハンズオフで自動的に車線変更して再度復帰する機能を搭載しています。

価格は100台限定生産で税込1,100万円で、リース専用となります。このレジェンドにはダイナミックマップ基盤の高精度3次元地図データ(HDマップ)が使われており、衛星測位の位置情報やミリ波レーダー、ライダーなどのセンサーデータを組み合わせて、高性能な実車配置特定が行われています。

衛星測位はみちびきに対応しており、みちびきの公式サイトでは片岡さんが取材した記事が公開予定とのことです。

また、日産の新型アリアもみちびきの高性能測位を採用するなど、HDマップと高性能測位を活用した自動運転車が少しずつ登場しています。こうしたレベル3以上の自動運転車には警察が誤認しないよう、自動運転車であることを示すステッカーを車体後部に添付するようになっています

自動運転車であることを示すステッカー

第4位:見守りデバイス各社から続々登場&リニューアル

今年の10大ニュースノミネート期間は5カ月間という短い期間でしたが、多くの見守りデバイスが発表されました。

第4位:見守りデバイス各社から続々登場&リニューアル

2001年にサービスを開始したセコムの屋外用セキュリティ専用端末「ココセコム」のデバイスがリニューアルしたほか、ソニーネットワークコミュニケーションズは世界最小・最軽量の音声機能付きGPSトラッカーを使った見守りサービス「amue link」を提供開始。さらにモリトジャパンの「みまるく」、ドリームエリアの「みもり」新モデル、加藤電機の「MAMORIA GPS」など非常に多くの端末が登場しています。

ソニーネットワークコミュニケーションズの世界最小・最軽量の音声機能付きGPSトラッカーを使った見守りサービス「amue link」

VALUECAREは、専用アプリ不要でLINEで操作できる「見守り猫さんGPS /サブスク!」、MAMORIOは、カード型の紛失防止デバイス「MAMORIO CARD」など、個性的な端末も登場しました。

専用アプリ不要でLINEで操作できる「見守り猫さんGPS /サブスク!」

また、アップルはUWB対応の紛失防止デバイス「AirTag」を発表。日本でもユーザーの多いiPhoneに対応したAirTagの登場で、見守りデバイスの注目度も上がりそうです。

UWB対応の紛失防止デバイス「AirTag」

選外ながら注目のジオニュースを一挙に紹介

ランキングとしては選外ながら、専門性が高く注目のニュースも発表されました。ここではニュースのタイトルのみをご紹介します。

  • Googleマップに機能いろいろと追加
  • Google Earthに地球の変化を時系列で見られるタイムラプス機能が追加
  • 「カーナビタイム」にプロドライバー向け機能が追加
  • Yahoo! MAP、新型コロナワクチンの接種会場・医療機関を確認できる機能を提供開始
  • 古地図サイト「ぷらっと水戸」「ぷらっと玉村」が公開
  • 大日本印刷がリアルとバーチャルを融合した新事業を開始、札幌と東京・渋谷の2エリアをオープン
  • オービタルネット、屋根上の太陽光発電設備の位置を可視化した地図を公開
  • ゼンリン、地図に好きな色を塗って楽しめる「地図ぬり絵」を発売
  • 地図グッズの専門店「Map DesignGALLERY福岡」4月17日にオープン
  • 道の駅ファン向けの会員制サービス「道ゆき」を提供開始

第3位:マップボックス、「Mapbox GL JS v2」を提供開始

今回のバージョンアップでは前バージョンに比べて25%から50%のレンダリング高速化を実現。さらに衛星画像を表示する「サテライト」は高解像度のデータを採用、3Dでの見せ方を調整できる「Camera API」を様々な方向に設定できるほか、空の色をコントロールできる「Sky API」もリリースされました。

第3位:マップボックス、「Mapbox GL JS v2」を提供開始

また、今回のバージョンアップではライセンスの変更も大きな話題となりました。

これまではオープンソースのライブラリとして無償利用や再頒布が可能でしたが、v2からは有償ライセンスとなり、コードの特定部分は改変不可になりました。なお、ライセンスが変更になるのはv2からで、現状のv1については継続して利用できます。

第2位:Geoloniaと不動産テック協会、不動産情報に付与する共通IDのベータ版を提供開始

graphiaを運営するGeoloniaと不動産テック協会の取り組みが2位に選ばれました。

第2位:Geoloniaと不動産テック協会、不動産情報に付与する共通IDのベータ版を提供開始

不動産共通IDは、不動産取引における企業間での情報連携やデータ連携などの実現を目的として提供するIDで、同一の物件を示す住所や店名などに共通のIDを付与することで、表記の揺れに影響されることなく物件を特定可能になります。不動産情報のデータ連携にかかるコスト大幅削減を図ります。

3月15日より事前登録受付が開始されていて、すでに大手不動産や、不動産テック企業の申し込みを受けています。不動産IDを利用するためのAPIは原則無料となり、正規化された住所や建物名を取得するAPIは有料で提供予定です。

第1位:国交省が「Project PLATEAU ver1.0」をリリース

第1位に輝いたのは、国土交通省の3D都市モデルプロジェクト「Project PLATEAU ver1.0」でした。すでに全国56都市の3D都市モデルの整備を完了し、開発したユースケース44件が公開されています。

第1位:国交省が「Project PLATEAU ver1.0」をリリース

さらにiJIT(アイジット)と技術協力により、時空間情報センターで3D土地モデルのオープンデータ化も開始。まずは東京23区3D都市モデルデータを掲載して、4月中に全国56都市の3D都市モデルデータを順次公開予定です。

エンジニア界ではとても盛り上がっていて、PLATEAUを活用した面白いゲームも登場するかもしれない、と片岡さんは期待を寄せました。

国土交通省だけでなく、静岡県も、5月9日に伊豆半島西部エリアの三次元点群データを時空間情報センターで公開。バーチャル静岡プロジェクトの2020年度の成果でテーブルを置くレーザー測量とかレーザー促進MMSなどで取得したデータを誰でも自由に利用できます。

伊豆半島西部エリアの三次元点群データを時空間情報センターで公開

最後に

前回から半年も満たない開催でしたが、それでもたくさんの地図関連ニュースや出来事がありました。片岡さんからは「まだまだコロナ禍が続いていますが、各社共、様々なサービスや製品がリリースされていて本当に素晴らしい。今後もみなさんの活動を記録して世に伝えていけるようがんばりますので、引き続き情報提供、取材対応をよろしくお願いします」と語り、「次はリアルでお会いしたいですね」と締めくくりました。

GeoNews

URL

ジオ展2021
https://www.geoten.org/2021