【ジオ用語解説】ベース・レジストリ:国民が参照できる公的データベース。整備や相互連携によってコスト削減や経済効果に大きな期待

ベース・レジストリは、国や地方自治体といった公的機関が管理しており、必要なときに国民が参照することができるデータベースのことを指します。

戸籍や登記、免許など、公的機関が管理していて国民がいつでも参照できるデータベース

戸籍や登記情報ど役所で発行してもらうデータは、公的機関が管理していていつでも国民が参照できるという点で、とてもわかりやすいベース・レジストリの1つでしょう。人や企業はもちろん、建物、自動車、免許、住所など多岐の分野にわたってさまざまなデータが、ベース・レジストリとして管理されています。

出典:「データ戦略タスクフォース(第1回)「ベース・レジストリの概要」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai1/gijisidai.html

これまでベース・レジストリは、基本的にそのデータごと管理されていましたが、これらのデータをデジタル化した上で、相互に連携して参照できるような環境を整えよう、という動きが活発化しています。例えば最近では、コロナ禍において給付金や助成金を申請する際に、申請した人や企業の情報と登録されている情報が別で管理されていたため、申請したデータを登録したデータに照らし合わせて確認する、という作業が必要になりましたが、ベース・レジストリを整備することでこのようなトラブルを減らすことができます。

出典:「データ戦略タスクフォース(第1回)「ベース・レジストリの概要」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai1/gijisidai.html

また、各省庁でそれぞれ整備・運用している地図の情報をベース・レジストリとして整備して一元化すれば、ある省庁が保有する台帳の地図情報が更新された場合に、別の省庁の地図情報も更新されるようにすることができます。住所情報についてもベース・レジストリとして整備することで、「一丁目二番3号」と「1-2-3」のような省庁や自治体ごとの表記の揺れにより連携できなくなる事態が起こらなくなります。

日本政府が重点整備対象として位置付けるベース・レジストリ

政府の「データ戦略タスクフォース(第1回)」(2020年10月23日開催)では、日本のデータ戦略における共有データベースとしてベース・レジストリは重要な位置を占めており、「ベース・レジストリの有無が国の競争力を左右する」として、最新のデジタルテクノロジーを活用する基盤として位置付けています。

出典:「データ戦略タスクフォース(第1回)「ベース・レジストリの概要」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai1/gijisidai.html

また、2020年12月に策定したベース・レジストリ・ロードマップでは、ベース・レジストリの重点整備対象候補として、個人や法人、不動産、文字、住所、法律、制度、郵便番号など12の分野を挙げています。この中には「地図」も含まれており、その理由は「社会的、経済的効果が大きい」とされています。

さらに、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、これらの重点整備対象候補のうち、社会的ニーズや経済効果、即効性の観点に基づいて「ベース・レジストリの指定について」を2021年5月に決定しました。この中では、ベース・レジストリの効果として、「ワンスオンリーの実現」、「行政におけるシステム重複投資の削減」、「社会の情報基盤としての貢献」の3点を挙げています。

このうち「ワンスオンリーの実現」とは、一度提出した資料は二度以上提出する必要がなくなるようにすることで、申請者は再入力の手間やコストの削減、エラー処理の防止を図ることができます。役所に行ってなにか申請しようとすると、住所や電話番号、生年月日など同じことを何度も記載しなくてはなりませんが、このような情報入力を一度で済ませられるようにすることをワンスオンリーといいます。

ベース・レジストリの整備で行政コスト削減や大きな経済効果を期待

「行政におけるシステム重複投資の削減」については、さまざまな省庁において、それぞれが収集・整備・更新していたデータをベース・レジストリとして一元化することによって、政府として重複投資することがなくなり、行政コストの削減につながります。また、経済効果も非常に大きいと期待されています。

ベース・レジストリで先進的な国家として知られるデンマークでは、ベース・レジストリの改革に約100億円を投資し、その後15年間で12.5倍の投資対効果を得たとされており、中でも住所データベースについては27.5倍もの投資対効果があったとしています。国土面積がデンマークより大きい日本では、ベース・レジストリの整備によって、さらなる大きな経済効果が期待されています。

出典:「データ戦略タスクフォース(第1回)「ベース・レジストリの概要」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai1/gijisidai.html

「社会の情報基盤としての貢献」については、さまざまなデータを行政だけでなく民間も活用できるようにすることで、社会の情報基盤として幅広く利活用することが可能となり、社会全体のコスト削減に寄与するという考え方です。前述した住所データなどは、ベース・レジストリとして整備したものを物流業界や不動産業界など民間でも相互活用できるようにすれば、配送間違いや不動産の物件情報の表記ミスなどが起こりにくくなります。そのためには不動産の物件を管理するIDなど、さまざまな分野でデータを相互活用するためのIDを整備する必要もあります。

ベース・レジストリは、国が持つデータもあれば自治体が保有するデータもあり、場合によっては民間が提供するデータもあります。今後、ベース・レジストリの整備が進むにつれて、公開できるデータはオープンデータとして活用され、さまざまな場面で活用されることが期待できるでしょう。

URL

内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室「データ戦略タスクフォース(第1回)」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai1/gijisidai.html

「ベースレジストリの指定について」
https://cio.go.jp/node/2764