デンマークが世界初の「エネルギー島」建設に向けて、海底マッピングを開始
北欧の環境先進国、デンマークは2050年までにカーボン・ニュートラル(化石燃料ゼロ社会)を目指しています。
これまでも独自のエネルギー政策によって、自給率を向上してきており、デンマーク政府が掲げる「新気候変動適応法」では、温室効果ガス排出量を2030年までに1990年比で70%削減することを義務化しています。
今年2月には世界初で、デンマーク史上最大の建設プロジェクトと言われている人工島「エネルギー島(Energy island)」の建設を政府が合意。巨大な洋上風力発電機が数百基が設置され、風力エネルギーのハブとして期待されるエネルギー島は、デンマークの計画実現において重要な役割を担っています。
エネルギー島について
世界で初めて洋上風力発電の拠点となる2つのエネルギー島を建設。1つは、北海上に、もう1つは、バルト海にあるボーンホルム島に建設されます。
北海に建築される人工エネルギー島は、デンマーク沖80kmの地点にサッカー場18面分に相当する12万平方メートルの広さを予定しています。
エネルギー島ではグリーンエネルギーを生産し貯蔵。まずは、300万世帯分のグリーンエネルギーを供給できるとしていて、デンマーク本土や近隣諸国にも直接供給される計画です。
将来的には、さらに多くのエネルギーを生み出し、また、脱炭素化が困難な船舶、航空、重工業、大型車用の持続可能な燃料を生産することを目指しています。
2033年頃から稼働予定で、5月から海底調査を行うMMTの調査船が出港しています。調査は、オランダに本社を置く多国籍企業で、地上・海での地質データの収集と分析を専門としているFugro社が担当します。
5月3日にMMTの調査船、Relumeが海底調査へ出港する様子を描いた、Energinetの映像はこちら
First ship to the energy island on Vimeo
https://vimeo.com/546342531
海底調査・マッピング
今月から始まった海底調査について、Offshore Engineerはこのように報じています。
電力システムを運営する国営会社エナギネット社(Energinet) は今回の調査について、「今回の調査対象地域の海の深さは25〜50メートルとしており、「比較的浅い海面と良好な風の状況が、北海を洋上風力発電所、そして人工エネルギー島建築にとって理想的な場所となっています。また、当初計画されていた約200基の洋上風力発電機と人工島の基礎工事に適した海底でなければならないことです」と述べています。
Fugro社とMMT社は、海底から100メートルの深さまで、海底の表面とその下の地質層を調査し、地図を作成。砂州、海洋生物が作る岩礁、岩石などの地質要素がマッピングされる予定ですが、これに加えてエナギネット社は、「この地域での史上最大の海戦、1916年のユトランド沖海戦の難破船や、不発弾(主に第二次世界大戦の爆弾や地雷)にも遭遇するだろう」としています。
海底調査は、2つのフェーズに分かれており、フェーズ1の5月から11月には物理探査(海底サンプリングと海底から少なくとも100メートルまでの土壌データを含む)、2022年2月から3月にはFugro社のGeowingソリューションを使った不発弾磁力測定調査を行う予定です。
URL
デンマーク、北海の世界初の人工エネルギー島計画を承認 | ロイター
https://jp.reuters.com/article/climate-change-denmark-idJPKBN2A50KK