【ジオ用語解説】Google Maps Platform

Googleマップを利用したサービスやアプリを開発できるプラットフォーム

ウェブ地図やスマホ用地図アプリの代表的存在であり、多数のユーザーが利用するGoogleマップ(Google Maps)。このGoogleマップをもとに、さまざまなウェブサービスやアプリを開発できるプラットフォームが「Google Maps Platform」です。

Googleマップ
Googleマップ

Google Maps Platformを利用することで、たとえば小売店がウェブサイトで店舗情報を地図上に表示したり、営業支援ツールにおいて顧客情報を地図上で可視化したり、配送時に車両の配送状況を可視化して顧客に伝えたりと、さまざまな機能を自社サービスに組み込むことが可能となります。

多彩な地図関連のAPIやSDKを提供

Google Maps Platformでは、ウェブサイトやアプリにおいてさまざまな地図関連のAPI(アプリケーションプログラミングインターフェイス)やSDK(ソフトウェア開発キット)を利用できます。

Google Maps Platformの開発者向けサイト
Google Maps Platformの開発者向けサイト

これらは大きく分けて「マップ(Maps)」、「ルート(Routes)」、「プレイス(Places)」という3つの機能があります。以下でそれぞれの機能と代表的なAPIやSDKについて説明します。

マップ(Maps)

地図表示やストリートビューなどの機能を利用するための機能です。

API名概要
Maps JavaScript APIウェブサイト上でGoogleマップを表示させることが可能なAPI。
Maps Static API地図を画像として取得できるAPIで、サイズや画像形式、地図タイプ、ズームレベルなどを指定できます。
Street View Static API静的なストリートビュー画像を取得するためのAPIです。
Maps Embed APIJavaScriptを使用せず簡単にウェブサイトに地図を埋め込めるAPI。
Maps SDK for iOS/Maps SDK for AndroidGoogleマップを使った動的なiOS/Androidアプリを開発するためのSDK。

ルート(Routes)

ルート検索を行える機能で、渋滞情報を考慮した検索や指定した地点の巡回機能なども利用できます。

API名概要
Directions API経路検索を行うためのAPIで、指定できる地点は10カ所以内に限られます。交通状況は考慮した検索は行えません。
Directions Advanced API交通状況を考慮した経路検索を行えるAPIで、25カ所以内の地点を指定できます。
Distance Matrix API移動時間と距離を表示できるAPIです。交通状況を考慮した計算は行えません。
Distance Matrix Advanced API交通状況を考慮して移動時間と距離を計算できるAPIです。
Roads API移動中に取得したGPSの位置情報をもとに軌跡を作成し、距離などを算出できるAPIです。

プレイス(Places)

施設情報を利用するための機能で、施設名や住所、電話番号、評価情報などを取得できます。

API名概要
Places API施設検索を行うためのAPIで、施設の詳細情報を表示できます。
Geocording API住所を緯度・経度に変換するためのAPIで、緯度・経度から住所に変換することもできます。
Time Zone API指定した地点のタイムゾーンを取得するためのAPIです。
Elevation API指定した地点の標高を取得するためのAPIです。
Geolocation APIGPSがないデバイスで携帯電話の基地局やWi-Fi測位をもとに位置情報を取得するためのAPIです。
Places SDK for iOS/Places SDK for AndroidiOS/Androidアプリから施設情報を取得するためのSDK。

以上のような機能を使用することで、自社サイトにGoogleマップの地図を埋め込んで情報を追加したり、ルート検索を行ったりすることが可能となります。また、地図に独自の機能を追加したり、特定エリアのポリゴンデータを地図上に重ねたりすることも可能なほか、Googleが保有する施設情報を活用したアプリなども開発できます。

便利ながら突然の方針変更で影響を受けるサービスも

Google Maps Platformは、Maps Embed APIなど一部を除いて有料ですが、月に200ドル分までは無料で利用可能です。200ドルを超えると従量課金で請求が発生します。たとえば地図の読み込みは1カ月あたり28,500回までは無料となります。

なお、Google Maps Platformを利用したウェブサービスやアプリを提供する場合は、Google側の方針変更の影響を受ける可能性があります。たとえばGoogle Maps Platformが提供される以前にGoogle Maps APIとして提供されていたときは、無料利用枠として1日25,000回までの地図表示が可能でしたが、2018年6月にGoogle Maps Platformに一新してからは月に28,500回へと無料利用枠が大幅に減ってしまいました。この措置がきっかけで、Google Maps Platformから他社のプラットフォームに切り替えたサービスもあります。

また、2021年10月には、Googleマップの情報をもとにゲームを開発できる「Google Maps Platformゲームサービス」が2022年12月31日に提供終了となることが発表されました。これにともなって、同サービスを利用している位置情報ゲームアプリ「ドラゴンクエストウォーク」は、「今後、該当機能の切替えを順次実施し、引き続きサービスを提供してまいります」という声明を発表しました。一方、同じくGoogle Maps Platformゲームサービスを利用したアクションゲーム「PAC-MAN GEO」については、Google Maps Platformゲームサービスの終了が発表された直後にサービス終了となりました。

「ドラゴンクエストウォーク」の告知

「ドラゴンクエストウォーク」の告知

地図やルート検索、施設検索などを扱うウェブサービスやアプリの場合、Google Maps Platformのような地図配信APIやSDKを利用していることが多く、プラットフォームの仕様変更や料金体系の変更、機能の停止などの動向には十分に注意を払う必要があります。

URL

Google Maps Platform  |  Google Developers
https://developers.google.com/maps

ドラゴンクエストウォークがGoogle Maps Platform Gaming Servicesの利用を終了。地図機能は2022年12月までに段階的に切り替え – Graphia
https://graphia.jp/2021/10/20/dqwalk-goodbye-google

パックマンの位置ゲー、サービス終了へ – 電撃オンライン
https://dengekionline.com/articles/98519/