【ジオ用語解説】ジオフェンシング
ジオフェンシングとは、地図上に仮想的な境界(ジオフェンス)を設定し、境界内のエリアに出入りしたときにメッセージ通知など特定の処理を行う技術を意味します。マーケティングや見守り、車両管理、勤怠管理などさまざまな分野で活用されています。
エリアに出入りしたかどうかを検知するための測位方法としては、スマートフォンやGPSトラッカーの衛星測位機能やWi-Fi、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンなどが使用されます。処理が行われるタイミングについては、境界内を出入りするときだけでなく、エリア内に一定時間滞在または不在した場合にアクションを行うなど、さまざまな設定が可能です。
ジオフェンスの範囲設定については、あるスポットを中心に半径○mと円形に設定したり、建物の形に沿って設定したり、住所の区画などで設定したりすることができます。
ジオフェンシングによって行われる処理としては、メール通知や広告配信、アプリのアラート表示、ポイントの付与などさまざまなアクションがあります。具体的な活用法としては、以下のような事例が挙げられます。
ジオフェンシングの活用事例
広告配信
特定の店舗や施設に近付いた人や、施設内に入った人に対してアプリを介して広告やクーポン、キャンペーン情報などを配信することにより、顧客の購買意欲を喚起して効果的な販売促進を行えます。店舗の周囲に存在する顧客に対してリアルタイムに情報を配信できるため、時間限定のセールや売れ残りセール、雨の日割引など臨機応変にセールを仕掛けることも可能です。
ポイントサービス
店舗を訪れた際にアプリを通じてポイントを取得できるサービスを実現できます。顧客が店舗を訪れるきっかけ作りとして有効です。
スタンプラリー
ユーザーが特定エリア内に入るとスタンプを押せるデジタルスタンプラリーのサービスを実現できます。店舗や観光スポットなどを設定することでさまざまなキャンペーンやイベントに活用できます。
情報配信
観光アプリを介して、観光スポットに近付くと案内情報を配信したり、混雑情報を配信したりすることにより、観光客の満足度を高めることができます。特定スポットを訪れた観光客を飲食店に誘導するためにクーポンを配信することもできます。
見守りサービス
子どもや高齢者、ペットなどにGPSを搭載した端末を携帯させることで現在地をリアルタイムに把握できる見守りサービスにおいてジオフェンシング機能を利用できます。例えば子どもが塾に通っている場合は塾を中心にジオフェンスを設定しておくことで、そのエリアの出入りを検知して知らせることが可能です。また、家や施設を中心にジオフェンスを設定することで徘徊対策などに利用できます。
よく行く場所をAIで自動的に学習する機能や、学習・登録した場所への出入りの自動検知機能などを搭載する見守りサービス「みてねみまもりGPS」(株式会社MIXI)
車両管理
車両にGPSを搭載した端末を装着し、自社や取引先をジオフェンスとして設定することで搬出入の状況を把握できます。重機のレンタルサービスを提供している企業は車両の紛失防止や盗難対策にも活用できます。
物流管理
コンテナやパレット、カゴ車などの物流機器にGPSトラッカーを取り付けて現在地を把握するアセットトラッキングシステムにおいて、倉庫や納品先をジオフェンスとして設定することで搬出入や着荷を確認できます。物流機器のレンタルサービスを提供する企業が紛失防止対策として活用することも可能です。
勤怠管理
オフィスや工事現場など特定エリアをジオフェンスとして設定することにより、エリア内に入ることで自動的に打刻することができます。客先常駐するスタッフであれば取引先企業の位置を登録したり、テレワークの場合は従業員の自宅などを設定したりすることもできます。
ドローン
ドローンメーカーの中には、空港や刑務所など、規制で禁止されている空域や安全上問題のあるエリアにドローンが侵入した場合に、警告表示や機能制限が行われる機能を提供している企業があります。
位置情報ゲーム
「ポケモンGO」などの位置情報ゲームにもジオフェンシングの技術が使われています。街中に設定されたスポットを訪れることでチェックインしたり、他ユーザーと対戦したり、モンスターを捕獲したりと、さまざまなアクションを起こすことができます。
リマインド
あらかじめ特定の場所をジオフェンスとして設定することで、そこに近付いた際に登録したメモが表示される個人向けアプリもあります。備忘録として使えるほか、通知先として家族や友人などを登録することにより、待ち合わせ場所に着いたことを知らせるといった使い方も可能です。