月刊Graphia 2025年8月号(2025年7月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2025年7月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
エゾウィン、みちびきのCLASに対応した通信機能付きGNSSロガーを発売

エゾウィン株式会社は、準天頂衛星「みちびき」のCLAS(センチメータ級測位補強サービス)に対応した通信一体型GNSSロガーの新モデル「REP-032025」を2025年夏に提供開始すると発表しました。
同製品はCLASの高精度測位に対応したGNSSロガーで、一般的なGPSロガーに比べてデータの信頼性が向上し、正確な稼働分析や燃料費の最適化、公平な評価制度の構築が可能となります。外部アンテナ接続に対応しているため、ロガー本体を最適な場所に固定しつつ、アンテナだけを受信感度の良い場所に設置することが可能です。
また、測位精度(FIX/Floatなど)とSIMの通信強度を本体のインジケーターでリアルタイムに確認することが可能で、データトラブルが発生してもその場で原因を切り分けて迅速に対処できます。さらに、オフライン時のデータ蓄積機能(最大24時間)も搭載します。
同製品は単体での提供のほか、同社の動態管理システム「ミルトッカ」や「レポサク」と組み合わせたソリューションとしても提供します。
Geolonia、地図を活用したプログラミング学習サービス「地図ぼうけんラボ」を本格リリース

株式会社Geoloniaは7月28日、教育機関向け学習サービス「地図ぼうけんラボ」を本格リリースしました。
同サービスは、ビジュアルプログラミング言語「Scratch」をベースに、デジタル地図とプログラミングを組み合わせた学習サービスで、子どもたちが楽しみながらプログラミング的思考や地理的視点を養うことができます。実際の地図データを活用しながら地域課題の探求や防災マップの作成などを行うことが可能で、身近な地域を題材にしながら学習できます。
同サービスは2025年5月のベータ版がリリースされ、200名を超える登録者が利用しました。今回の本格リリースでは地図のスタイルの種類が追加され、地図を背景にしたゲーム作成などを楽しめます。ゲーム作成のサンプル動画がYouTubeで公開されているほか、Scratchブロックの使い方を説明したガイドページも提供されています。なお、導入にあたっては教育機関や個人向けに無料のトライアル版が提供されています。
ソラコムとJENESIS、GNSSやBLEビーコン通信に対応したIoTデバイスを発売

株式会社ソラコムとJENESIS株式会社は7月16日、IoTに必要な機能を1台に集約したオールインワン型デバイス「GPS + Beacon Edge Unit SORACOM Edition」の予約受付をSORACOM IoTストアにて開始しました。出荷は8月後半から9月上旬を予定しています。
同製品は、GPSおよびQZSS(準天頂衛星システム)による位置情報の取得が可能なIoTデバイスで、温度や湿度の環境センシングや加速度センサー、BLEビーコンの送受信などの機能も搭載します。
通信はLTE-M(LTE Cat.M1)に対応しており、DC給電およびUSB給電のほか、1500mAhのバッテリーを内蔵しているため電源確保が難しい状況でも使用できます。また、GNSSおよびLTEの外部アンテナ接続にも対応しています。
SORACOMのデータ収集・蓄積機能やダッシュボード作成・共有機能、アラート通知機能などを活用することにより、短期間で可視化を実現できます。収集されたデータは自社システムやクラウドと簡単に連携することが可能で、さまざまな業務環境への統合もスムーズに行えます。
営業車や作業員のトラッキング、荷物や農作物の輸送時における温湿度管理、衝撃検知、現場での出退勤記録、見守りなど幅広い用途に利用可能で、BLEビーコン通信により屋内での位置把握も可能となり、物流や施設管理において屋内外シームレスな位置情報管理を実現できます。
地図サイト「MapFan」、生成AIで行き先候補を提案する新機能を期間限定で無料公開

https://geo-news.jp/archives/7629
https://geo-news.jp/archives/7605
ジオテクノロジーズ株式会社は7月22日、地図サイト「MapFan」の新機能「AI行き先提案 β版」を期間限定で無料公開しました。
同機能は、フリーワードでやりたいことを入力すると、生成AIが対応する行き先候補を提案する機能です。例えば「リフレッシュしたい」と入力すると、公園や植物園、温泉などリフレッシュできる場所を提案するコメントが表示され、近傍の行き先候補が表示されます。行き先候補はジャンルごとにタブで切り替えることもできます。
従来の名称検索やジャンル検索と異なり、漠然とした“やりたいこと”に対して行き先候補を提案するため、より直感的に目的に合った場所を探すことができます。なお、正式版への移行についてはβ版の利用状況などを勘案して判断する予定です。
また、ジオテクノロジーズ株式会社は7月7日、地図サイト「MapFan」に新機能「サカミチズβ版」を追加し、期間限定で無料公開しました。「サカミチズβ版」は坂道の勾配率と勾配方向を地図上に一覧表示する機能で、勾配方向は矢印が上り方向を示す形で表現され、勾配率は5段階の色分けで表示されます。
ランニングやサイクリングなどで傾斜を活かしたトレーニングを行う場合などでの活用を想定しており、日本全国の坂道を地図上に表示することで自宅周辺や旅行先などさまざまな場所でトレーニングに適したコースを探すことができます。
NAVITIME Travel、涼しさで旅先を選べる「避暑地モード」を提供開始

https://geo-news.jp/archives/7638
https://geo-news.jp/archives/7619
株式会社ナビタイムジャパンは7月29日、旅行プランニング&予約サービス「NAVITIME Travel」にて新機能「避暑地モード」を提供開始しました。
避暑地モードは、同社が収集・整備する全国のスポットデータから、エリアやスポットの特徴を考慮して独自に定義した「避暑地」や「涼しいスポット」と、既存の「日陰優先ルート」の既存技術を統合することにより、涼しさを意識しながら旅行のプランニングを行える機能です。独自のスポット特徴データと生成AIを組み合わせてエリアごとに定義し、そのエリアでどのような観光ができるのかを提案します。高原や渓谷・清流といった「自然」が豊富にあることに加えて、「ホテル」「アクティビティ」「文化」もセットで観光を楽しめるようなエリアを選定しています。
「クーリングシェルター」や「屋内観光スポット」、「渓谷」「湖沼」「滝」などジャンルを考慮した検索が可能で、各ジャンルを指定した検索も行えます。検索されたスポットには「涼しいスポット」アイコンも表示されます。「屋内観光スポット」は、NAVITIME Travelの観光ガイド情報から、水族館や美術館、商業施設などの屋内観光スポットを抽出し、独自のデータとして今回初めて整備した情報で、夏の暑い日に屋内で涼しく過ごせるスポットや、天候に左右されず雨の日にも楽しめるスポットを簡単に見つけられるようになりました。
目的地までのルート検索時には「屋内優先」「日陰優先」など直射日光を避けて屋内や日陰を通るルートを選択できる。地図上にも日陰を表示する「日陰マップ」機能を利用可能で、スポット間の移動にも涼しさを意識したプランニングを行えます。
また、ナビタイムジャパン株式会社は7月14日、イベントと地域の飲食店や事業者をつないで地域経済活性化をサポートするソリューション「ローカルコミュニティマップ」を提供開始すると発表しました。ローカルコミュニティマップは、LINE公式アカウントを活用した観光・イベント主体者と地域事業者間のコミュニティプラットフォームと、イベントをきっかけに地域を訪れる来訪者向けの情報提供デジタルマップを提供するソリューションで、自治体や観光協会、スポーツクラブなどの観光振興やイベント開催などを行う企業・団体などのイベント主体者向けに提供します。