【ジオ用語解説】「GIS」:ゴジラの追跡にも使われた!? 地図上で情報を可視化して分析できる技術

コンピュータを使ってデジタル地図上に位置情報が付与されたさまざまなデータを可視化させて、管理・分析・加工・作成するシステムのことを「GIS(Geographic Information System:地理情報システム)」といいます。

「シン・ゴジラ」という映画で、ゴジラの移動した軌跡や、放射線量が多い地域などをパソコンの地図上に表示させるシーンがありますが、あれもGISと言えます。GISを使うことで、地図上に情報を可視化させて、位置情報を持つデータ(地理空間情報)を加工・分析し、高度な分析や迅速な判断を行うことが可能となります。

地図上に表示させる情報を取捨選択したり、複数のデータを重ね合わせたり、時系列の変化を追ったり、リアルタイムにデータを取得して反映したりすることは紙の地図では難しく、GISはデジタル地図ならではの技術として、施設管理やシミュレーション、都市計画、防犯・防災、科学調査などさまざまな分野で利用されています。

オープンソースのGISソフトウェア「QGIS」

地図上で情報を可視化することで広がるデータの活用方法

GISでできることは多種多様です。地図上で情報を可視化することで、人口統計データなど数字の羅列にしか見えなかったデータが意味を持つ情報として把握できるようになります。可視化の方法についても、都道府県や市区町村ごとに色分けしたり、数量の多寡を色の濃淡で示したりと、さまざまなやり方があります。

私たちが地図アプリで使うルート検索は、道路と道路のつながりを収録した「道路ネットワークデータ」をもとに、指定した地点間の最短経路を検索する機能であり、これもGISの代表的な使い方のひとつです。

このほか、地図上で長さや面積を算出したり、標高データをもとに地形を3Dで可視化したり、地図上のさまざまな地点に写真を関連付けて、どの地点にどのようなものがあるかを整理したりすることもできます。さらに、写真や古地図、イラストマップなどに位置情報を付与して重ねることもできます。

GISは、地理空間情報を重ね合わせて表示できるレイヤー構造を採用しており、複数の情報を組み合わせることで新たな気付きを得られることがあります。たとえば大雨で河川が氾濫した場合の浸水予想区域を示す洪水ハザードマップに、避難所の位置情報を重ねることで、浸水時でも利用可能な避難所を抽出して表示できます。

GISを使うことにより、「このエリアに新しい店を開いたらどれくらいのお客が来るのか」「子育て世代が多く住むエリアは?」「この駅から徒歩5分圏内にあるマンションは?」「この川が氾濫した場合、どれくらいの範囲のエリアが浸水する?」「営業マンやサポートスタッフが得意先を効率よく回るにはどのルートを通ればいいのか」といったさまざまな問いに答えることができます。

GISを利用するためのソフトウェアは、ESRI社のArcGISシリーズに代表される有償ソフトや、無料で利用可能なGoogle Earth、そしてオープンソースソフトウェアなど、さまざまなものがあります。地理空間情報に関するオープンソースソフトウェアはFOSS4G(Free Open Source for GeoSpatial)と呼ばれており、QGISやGRASSなどさまざまなGISソフトウェアや関連ツールの開発が世界中のエンジニアによって進められています。

国や自治体もGISを活用。GISに欠かせない地理空間情報データもオープンデータとして公開

このほか、ウェブブラウザー上で動作するWeb GISもあります。Googleマップや国土地理院の「地理院地図」などのウェブ地図サービスもWeb GISの一種と言えるし、「ひなたGIS」など自治体が提供するサービスもあります。

宮崎県が公開している「ひなたGIS」

自治体などにおいて複数の部署が地理空間データを共有できる横断的なシステムは「統合型GIS」と呼ばれています。統合型GISを導入することで、部署ごとに行っていたデータ整備のコストを削減することが可能となります。また、インターネットを使って住民や顧客に対して生活情報や福祉・医療、防災、公共交通機関などの情報を提供するシステムは「公開型GIS」と呼ばれています。

日本においては、1995年に起きた阪神・淡路大震災への反省をきっかけとして、災害対策や防災にGISを役立てる取り組みが国などによって始まりました。国が提供するGIS関連のサービスには、防災のほかにも、統計局による統計GISソフト「G-Census」や、内閣府による地域経済分析システム「RESAS」など、さまざまな分野があります。

GISにとって欠かせない存在である地理空間情報データには、企業が有償で販売しているものもあれば、自治体や国などが無償で提供しているものもあります。このうち、加工や編集、再配布など二次利用が可能な無償のデータは「オープンデータ」と呼ばれており、近年はさまざまな官民データがオープンデータとして公開され始めています。

自治体などが扱うデータの多くは位置情報や住所などに紐付いた地理空間情報データであり、GISを使ってこれらのデータを活用することで、誰もがビジネスや生活などに役立てることができます。今後、地理空間情報のオープンデータの公開が進むにつれて、GISの役割はますます大きくなっていくものと思われます。

■URL
QGIS
https://qgis.org/ja/site/

ひなたGIS
https://hgis.pref.miyazaki.lg.jp/hinata/