【ジオ用語解説】測地系
測地系とは、地球上の位置を緯度・経度・標高(高さ)の座標で表すための決まりをまとめた体系(システム)を意味します。地図を作成する上での測量の前提となる地球の形や大きさ、経緯度原点、高さの基準となるものについて、各国の国家測量機関が定義して維持を行っています。
測地系と地球楕円体
地球上の位置を緯度・経度・高さの座標で表すためには、まず基準面を決める必要がありますが、地球の表面には山や谷や水面など凹凸が無数に存在しており複雑なため、これをシンプルな形にモデル化した「地球楕円体」が基準面として用いられます。地球楕円体のモデルには「ベッセル楕円体」「ヘルマート楕円体」「測地基準系1980(GRS80)楕円体」などいくつか種類があります。なお、測量の基準として利用するために、楕円体の中心や軸の位置、方向を決めた地球楕円体を“準拠楕円体”と呼びます。

日本の測地系の変遷
2001年以前の測量成果は、経緯度原点の座標をベッセル楕円体面に定めていた旧日本測地系(東京測地系)で表現されていましたが、2002年4月1日に改正測量法が施行され、世界標準である「世界測地系」に基づいた「日本測地系2000(JGD2000)」が採用されることになりました。
世界測地系とは、VLBI(超長基線干渉法:天体から届く電波を利用して地球上の位置を測量する技術)や人工衛星による観測で明らかとなった地球の正確な形状と大きさに基づいて、世界的な整合性を持たせて構築された国際的に定められている基準で、ITRF系(国際地球基準座標系)やWGS系などいくつかの体系があり、手法や精度に細かな違いがあります。日本では多くの国が採用しているITRF系およびGRS80楕円体を採用しています。
JGD2000を採用した日本は2011年10月に、東日本大震災による地殻変動を反映した「日本測地系2011(JGD2011)」に移行し、最近では2025年4月に「日本測地系2024(JGD2024)」に移行しました。なお、測地系の移行にともなって公式な位置データの名称も変わり、現在はJGD2024に基づく「測地成果2024」が2025年に公開されています。
測地成果2024の基準
測地成果2024では、水平位置は日本経緯度原点(東京都港区麻布台)の座標値を基準として、そこからの相対的な位置関係を測量することでJGD2024に準拠した基準点の座標が求められます。高さ(標高)については、東京湾平均海面が地球のジオイド(地球の表面で海水が落ち着いたときに作る面)と一致するものとして、これを標高の基準面としており、東京湾の平均海面を地上に固定するために「日本水準原点」(東京都千代田区永田町)が設定されています。JGD2024は、緯度・経度についてはJGD2011を引き継いでいる一方で、標高については地殻変動で累積した標高成果のずれを解消するため、最新の衛星測位や標高観測データ、新たなジオイドモデルにより更新されました。
GNSSと座標変換
GNSSによる位置情報については、例えば米国のGPSではWGS84座標系が使用されており、これまで何度か改定が行われていますが、ITRF座標系とずれないように座標系が維持されているため、違いは実用上無視できる範囲であるとされています。GNSSによって得られた座標値である三次元直交座標(X、Y、Z)は、GRS80楕円体の長半径や扁平率を用いた数式により地理座標(緯度、経度、楕円体高)に変換できます。
測地系が異なると、同じ地点を地図上に可視化した際に位置のずれが生じる可能性があり、GIS(地理情報システム)などで多様な地理空間情報を扱う場合は測地系を確認する必要があります。国土地理院では、測量成果の改定にともなって、旧日本測地系と測地成果2000の座標変換や、測地成果2000と測地成果2011の座標補正、測地成果2011と測地成果2024の標高補正など、簡単に座標や標高を変換できる測量計算サイト(https://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/main.html)および座標標高補正ソフトウェア「PatchJGD HV」を提供しています。















