月刊グラフィア 2023年2月号
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2023年1月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
法務省、登記所で使われている地図データをG空間情報センターで無料公開
法務省は、全国の法務局の登記所で使われている地図データを、データ流通支援プラットフォーム「G空間情報センター」にて1月23日正午に一般公開しました。
公開となったのは、登記所でコンピュータシステムによる事務処理を行うための地図情報システムに入っている地図データで、データ形式は加工可能なXMLフォーマットを採用しています。G空間情報センターのウェブサイトからダウンロードすることで、利用規約に抵触しない限り誰でも無料で利用できます。
ダウンロード方法は、G空間情報センターのトップページにて[データを探す]の中から[組織から選ぶ]を選択し、[法務省]より[登記所備付地図]を選択して都道府県を選択します。G空間情報センターでは今後、このデータをGeoJSON形式などGISやウェブで使いやすい形式に変換したデータを提供する予定とのことです。
これまで法務局が有する地図データは、地図証明書や図面証明書として、法務局で有料にて写しの交付を受ける方法や、インターネットの登記情報提供サービスにてPDFデータの閲覧をする方法で情報提供を行ってきました。
今回の一般公開は、生活関連・公共サービス関連情報との連携や、都市計画・まちづくり、災害対応などさまざまな分野においてオープンデータとして利活用してもらうことを目的としており、公開するデータは地図証明書・図面証明書に代替するものではありません。あくまでも地図データの公開と地図証明書の交付は異なる制度であり、地図証明書の手数料にも変更はないとのことです。
国土地理院、東日本地域の衛星画像の解析結果を地理院地図で公開
国土地理院は1月27日、東日本地域の衛星画像の解析結果をウェブ地図サービス「地理院地図」にて公開しました
この解析結果は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する衛星「だいち2号(ALOS-2)」のSAR(合成開口レーダー)データを使用して地表の変動を捉えたもので、2022年6月に北海道地域の解析結果を先行公開していました。そして今回、2023年3月に予定している全国の解析結果の公開に先行して東日本地域の解析結果を公開しました。
これらの解析結果は、異なる時期の観測データを使って作成した多数のSAR干渉画像を統計的に処理する「干渉SAR時系列解析」によるもので、SAR干渉画像に含まれる大気や軌道誤差に起因する誤差を低減することにより、個別のSAR干渉画像では捉えるのが難しい微小な地表の動きとその時間変化を捉えられます。この変動情報は、測量の基準(国家座標)の維持管理や、地盤沈下調査などの空間分解能の向上につながります。
閲覧方法は、地理院地図にアクセスし、[地図の種類]メニューから、[トップ]>[基準点・地磁気・地殻変動]>[干渉SAR]>[時系列解析]>[全国]を選択します。次に、表示させたい解析結果を選択すると、地図上に干渉SAR時系列解析で得られた変位速度が表示されます。
クロスロケーションズ、業界・業種ごとの目的別人流データ「Location Data Service」を提供開始
クロスロケーションズ株式会社は1月27日、さまざまな業種・業態の目的に対応した人流データを「Location Data Service」として提供開始しました。
同サービスは、位置情報ビッグデータをAIで解析処理し、さまざまな目的・課題に応じて自由に活用できるように人流データをカスタマイズして提供するサービスです。第一弾として提供する人流データは、「オフィス出社率指数」「外国人の国内外の人流データ」「店舗チェーン別人流データ」の3種類で、今後も各業種・業界・企業のニーズに対応して順次種類を追加する予定です。
メッシュ型位置情報データの分析では困難な個別店舗や工場、オフィス、スタジアムなどの建物単位のピンポイントデータ分析を行っており、チェーン店別に各店舗周辺で観察された人流を集計することが可能で、企業や業界の人流トレンドデータとして活用できます。また、BQ(Big Query)、AWS(Amazon Web Services)、APIによる日次データ転送も行えます。
「オフィス出社率指数データ」は東京・名古屋・大阪を対象としており、たとえば東京大手町オフィスエリアの出社率指数データを日次更新で1年間購入する場合は年額30万円となります。
古野電気、船の位置情報をモニタリングするクラウドサービス「イチダケ30」を提供開始
古野電気株式会社は1月11日、船の位置情報をモニタリングする船舶向け位置管理サービス「ichidake(イチダケ)30」を提供開始しました。
同サービスは、衛星通信を介して陸上に船の位置情報を共有できるクラウドサービスです。世界中どの海域にいてもスマートフォンやPCを使って位置を把握することが可能で、サービス利用者は専用のウェブビューア(イチダケビューア)を使って、地図上で船の現在地を30分ごとにモニタリングできます。専用端末はソーラー充電が可能なため、電源不要で設置するだけですぐに使用可能です。なお、専用端末の設置は古野電気のスタッフが行います。
複数の船舶を一元管理することが可能で、航跡情報や過去の位置情報をさかのぼって確認することもできます。利用料は初期設定費用が11,000円、月額8,800円(いずれも税込)のサブスクリプションサービスとなっています。今後は入出港や、指定エリア通過時のアラート通知機能も提供する予定です。]
ヤフー、「Yahoo!天気」アプリで花粉レーダーなどの機能を提供開始
ヤフー株式会社は1月27日、「Yahoo!天気」アプリにて、全国各地の花粉情報をまとめた「花粉情報2023」を提供開始しました。
「花粉情報2023」は、全国各地の花粉が飛び始める予想時期や、前年と比較した花粉飛散量の傾向を確認できる機能です。花粉(スギ・ヒノキ)の飛散量や飛散範囲の動きを48時間先まで地図上で確認できる「花粉レーダー」や、直近1週間の天気とあわせて花粉(スギ・ヒノキ・シラカバ)の飛散の予想を市区町村ごとに確認できる「花粉飛散予報」なども提供します。また、登録している地点の花粉飛散情報を「Yahoo!天気」アプリにてプッシュ通知で知らせる機能も提供します。
なお、花粉情報はPC版およびスマートフォンブラウザー版の「Yahoo!天気・災害」でも提供しています。
記事協力:GeoNews