月刊グラフィア 2023年7月号
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2023年6月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
ナビタイムとKDDI、人流分析サービス「KDDI Location Analyzer」インバウンド版を10月に提供開始
株式会社ナビタイムジャパンとKDDI株式会社は、人流分析ダッシュボードサービス「KDDI Location Analyzer(訪日外国人版)Powered by NAVITIME」を10月上旬に提供開始すると発表しました。
同サービスは、ナビタイムジャパンの訪日外国人向け経路検索・観光案内アプリ「Japan Travel by NAVITIME」から利用者の同意を得て取得したインバウンドGPSデータと属性アンケートをもとに、20の国・地域別にインバウンドの人流・動態分析を行えるサービスです。
GPSによる位置情報の活用で狭域メッシュ(125m)や施設サイズの分析が可能で、日本人と訪日外国人の動態の差を踏まえた地域や施設単位での導線設計や、観光地における国籍別の周遊ルート設定など、きめ細やかなインバウンドの人流・動態分析を行えます。
日本国内の人流ビッグデータ分析ツール「KDDI Location Analyzer」(KLA)と同様に直感的に操作できるUI/UXを搭載しており、KLAを利用中の自治体や企業では特別な操作方法を覚える必要なく、すぐにインバウンド分析を行えます。
データの対象期間は2019年1~12月、2022年11月以降で、データは週次で更新されます。分析項目は滞在人口分析、来訪者国籍分析、単点分析ダッシュボードなど。対応する国籍は韓国、中国、台湾、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、インド、ロシアなどです。
クロスロケーションズ、観光スポットやイベントの人流を分析できる「人流アナリティクス ツーリズム」を提供開始
クロスロケーションズ株式会社は、オンライン登録で人流データを分析できるクラウドサービス「人流アナリティクス」のスペシャル版「人流アナリティクス ツーリズム」を提供開始しました。
同サービスは、これまでの人流速報分析機能に加えて、観光スポットやイベント会場などの人流がわかる分析機能を追加したサービスです。追加された新機能は、観光地に訪れた来訪者がどの都道府県や市区町村から来ているかをランキング表示できる「都道府県別来訪比率」と「市区町村別来訪比率」で、どの都道府県や市区町村からの来訪比率が高いのかをデータで把握することができます。
また、アカウント作成後すぐに無料で利用できる全国の人気観光スポット10地点も新しく追加しています。新たに追加した観光スポットは、函館山展望台周辺(北海道)、岩手銀行赤レンガ館周辺(岩手県)、兼六園(石川県)、熱田神宮(愛知県)、姫路城(兵庫県)、平和記念公園(広島県)、鳴門公園(徳島県)、出雲大社(島根県)、霧島神宮(鹿児島県)、沖縄美ら海水族館周辺(沖縄県)です。
1IDにつき月額1万円(税別)で任意の10分析地点(10POI)の設定が可能で、追加の分析地点(POI)もオンラインで購入できます。さらにダッシュボードの各ウィジェット(分析メニュー)で可視化された人流データをcsvファイルでダウンロードすることも可能で、人流データを他のシステムや視覚化・BIツールで加工して活用することもできます。
ジオテクノロジーズが地理空間情報を用いた未来予測支援プラットフォームのパートナープログラムを発表
ジオテクノロジーズ株式会社は6月16日、都内で開催した報道向けの経営戦略発表会にて、新たなパートナー戦略「GPPE(ジオプリディクション・パートナーエコシステム)」を開始すると発表しました。
同社はデジタル地図や人流ビッグデータ、位置情報を用いた未来予測の支援プラットフォーム「GPP(ジオプリディクション・プラットフォーム)」を提供しています。GPPEは、同プラットフォームに様々な業種業態のパートナー企業の知見を組み合わせることで共同でソリューションを構築し、社会や企業の課題を解決するための取り組みを強化するための新たなパートナープログラムで、従来の販売代理や組み込み販売の仕組みを大幅に刷新したものとして提供します。
具体的には、販売パートナー(ジオテクノロジーズ製品の再販パートナー)、OEMパートナー(ジオテクノロジーズ製品をパートナーブランドで展開する販売パートナー)、トリマ再販パートナー(ジオテクノロジーズが提供する「トリマ」ブランドの再販パートナー)、コンサルティングパートナー(ジオテクノロジーズ製品の活用を提案するコンサルティングパートナー)の4種類のパートナーについて5段階のレベルを設けて、レベルごとに共通のルールを設けます。
共通ルールの例としては、共同戦略プランニング、共同マーケティング、営業支援・実機検証、SE支援とサポート強化、戦略価格/ファンドの提供など。これらの取り組みにより、新たなビジネスモデルを創出するための的確な提案や、ソリューションをすばやく構築するための迅速なコミュニケーションを実現します。また、パートナーを支援する専任チームを設けるとともに、パートナー向けにトレーニングカリキュラムやサポート体制も拡充します。
国土地理院とJAXA、衛星測位の国際機関に軌道情報を提供
国土地理院と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月30日、GNSS(全球測位衛星システム)衛星の精密な軌道情報を算出する体制を構築し、衛星機関に関する国際機関である国際GNSS事業(IGS)に軌道情報を定常的に提供開始すると発表しました。
GNSSは衛星の軌道情報(暦)を基にして地上の測位を行うシステムで、地殻変動が激しい日本において位置の基準の維持・管理に活用されています。精度の高い測位には高品質な軌道情報(精密暦)が必要で、現在は国際GNSS事業(IGS)が提供するIGS暦が最も高い精度を有するとされています。IGS暦は北米や欧州、中国の国家機関や研究機関、大学などの精密暦をもとに算出されており、これまでは海外機関に大きく依存しているという課題がありました。
このたび国土地理院とJAXAが連携し、国土地理院が国産のGNSS軌道計算ソフトウェアであるMADOCA(マルチGNSS対応高精度軌道時刻推定ツール)を用いて精密暦を算出し、JAXAがその運用結果に基づいてMADOCAを改良する協力体制を構築することにより、精密暦の安定的な算出が国内で可能となりました。この取り組みがIGSにも認められ、日本では初めてIGSに精密暦を定常的に提供することになりました。提供する精密暦はIGSの準備期間を経て、正式にIGS暦の算出に活用される予定です。
これにより、日本の位置の基準を自律的・安定的に維持・管理できるようになることに加えて、測地・測位分野の研究活動の促進が期待されます。
マップル、登記所備付地図データの取り込みに対応した地図ソフト「スーパーマップル・デジタル24」を発売
株式会社昭文社ホールディングスと株式会社マップルは、地図ソフト「スーパーマップル・デジタル24」を7月7日に発売すると発表しました。
同ソフトはWindows11/10に対応したインストール型地図ソフトです。本バージョンでは、G空間情報センターで公開された「法務省登記所備付地図データ(GeoJSON形式)」を取り込めるようになったことに加えて、マップルが開発した「MAPPLE法務局地図ビューア」とも連携し、図面単位でダウンロード(7月公開予定)したデータを取り込むことでオフラインでの利用も可能です。
また、車高/車幅/重量の規制を考慮したルート探索に対応し、高架下など高さに制限のある道路や、縁石などで狭められた幅に制限がある道路、指定道路など車重に制限のある道路において、ユーザーが入力した車両情報を考慮したルート探索が可能となります。これにより、トラック・バスなどのルート探索をおこなった際の精度が向上し、運送業・配送業・観光業での利用に役立ちます。
さらに、カスタム情報(ユーザーによる登録情報)をより便利に使うため、「カスタム情報の表示/非表示を縮尺によって設定できる機能」を追加したほか、折れ線の編集で閉じた図形を「開く」機能を追加するなど、操作性の向上も図っています。
地図・検索用データは、2022年10月25日(POI情報の一部は2023年2月1日)までに判明し、2023年4月1日までに実施の経年情報に基づいています。「車」のルート検索データについては、高速道路は2022年9月までに判明した2023年4月1日時点の情報(料金は2022年12月31日までに判明した情報)、一般道路・フェリー航路は2022年9月までに判明した重要情報を反映しています。
記事協力:GeoNews