月刊Graphia 2024年10月号(2024年9月分まとめ)
地図と位置情報を中心としたニュースサイト「GeoNews」の協力を受けて、2024年9月に掲載したニュースの中から厳選した5つの話題をピックアップして紹介します。
クロスロケーションズ、エリアや店舗前の人流を俯瞰できる「バードアイ人流」を提供開始
クロスロケーションズ株式会社は、人流データ分析プラットフォーム「Location AI Platform」の新機能として、地域の人流の状態を鳥の視点で直観的に把握できる分析メニューグループ「バードアイ人流」を10月に提供開始すると発表しました。
従来の人流分析システムでは、分析を始める前に対象地点(POI)の登録や分析期間、曜日、性別などの条件設定が必要でしたが、バードアイ人流では事前の準備が不要で、任意のエリアや地点をクリックするだけで地図上に人流を俯瞰できるようになり、詳細な分析に入る前におおよその人流の状況を直観的に把握できます。
バードアイ人流では、道路の通行量を把握できる「道路通行量マップ」と、エリアの密集度を把握できる「エリア密集マップ」の2つのウィジェットが提供されます。
道路通行量マップは、ジオテクノロジーズ株式会社の「道路通行量クラウド」のデータをAPIで活用し、クロスロケーションズ独自のUIと機能を統合した新しいウィジェットで、日本全国の道路データベースと位置情報を活用して道路単位での通行量を可視化できます。店舗開発担当者は新規出店前に周辺の人や車の通行量を把握することにより、売上予測やリスク評価に役立てられます。同ウィジェットはLAPおよびLAP Liteのユーザーにオプションメニューとして提供されます。
エリア密集マップは、AIにより、店舗や特定エリアを訪れる人々の動きや、時間帯ごとの人流の密集度合いを把握することが可能で、エリア周辺の混雑状況を把握して来店者分析やイベントの動員計画、交通混雑緩和対策などに活用できます。地図上で人の密集度に応じた色の濃淡をもとに人がどこに集まっているのかを俯瞰的に見ることが可能で、店舗開発者は新規出店時にエリア周辺の人出の状況を地図上から確認できます。同ウィジェットはLAPのユーザーに新ウィジェットとして無償で提供されます。
Yahoo!カーナビが大幅アップデート、マップボックスの3D地図表現に対応
マップボックス・ジャパン合同会社は9月5日、同社が地図表示システムを提供するLINEヤフー株式会社のカーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」が大幅にアップデートされて、UIやデザインが変更されたと発表しました。
今回のアップデートでは、トップ画面や運転中マップ画面では使用頻度の高い主要な機能ボタンのみに絞り、検索バーやメニューボタンを画面下部に配置しました。トップ画面はユーザーが必要な情報にすぐアクセスできるように、シンプルで直感的なデザインとなりました。
地図デザインは道路がより見やすくなるように色合いが調整され、新たに導入されるマップボックスの3D地図表現によりランドマークを立体的に表示し、現実に近い視覚情報を提供します。コンパスボタンをタップすることで、2D表示と3D表示を切り替えられます。
ナビ画面では、上部のナビパネルや走行レーンの視認性を高めて、右左折する場所をルート線上の吹き出しでも知らせます。右左折のある交差点では自動でズームインしたり、道なりの場合はルートが見通せるようにズームアウトしたりするなど、走行中の地図の縮尺も自動調整されるようになりました。
内閣府、スマートシティ活用の指針をまとめた「スマートシティ・リファレンスアーキテクチャ」の別冊を公開
内閣府は9月17日、スマートシティの構築や活用の指針となる資料「スマートシティ・リファレンスアーキテクチャ」の別冊として、「地理空間データ連携基盤」の冊子を内閣府のスマートシティのウェブサイトにて公開しました。
同書は株式会社Geoloniaが執筆したもので、スマートシティを構築する上で都市OSとGIS(地理情報システム)を連携させる重要性が高まっている中、防災や福祉、都市政策など分野・サービスごとに個別の地図が作成・利用されていることから、分野を横断した地理空間情報の利用を可能とするためにデータ仕様を明らかにして、データ作成者と利用者の双方が地理空間データを正しく理解できるようにすることを目的としています。
内容としては、Geoloniaが官公庁や地方自治体向けに開発・提供している地理空間データ連携基盤のアーキテクチャや機能、データ連携の方法、ツールについて解説しており、市民や自治体職員によるアプリケーションの利用が進んでいる高松市の事例や、自治体が地理空間データ連携基盤を導入する上で参考となる仕様書案も含まれています。
ダイナミックマッププラットフォーム、HDマップの対応フォーマットを20種類に拡充
ダイナミックマッププラットフォーム株式会社は9月18日、同社が提供する高精度3次元地図データ(HDマップ)の対応可能ファイルフォーマットを20種類に拡充したと発表しました。
今回の措置は、同社が自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けに開発したHDマップについて、自動運転以外の用途での問い合わせが増加していることを受けたもので、20種類の中にはゲームやエンターテインメント、シミュレーターや建築、自動車など幅広い用途で用いられているUnityやUnreal Engineも含まれます。
同社は対応可能ファイルフォーマットの拡充にともなって「データ活用事例・サンプルデータ提供特設ページ」も開設し、各種フォーマットでのサンプルデータ提供を開始しました。同社は今回対応した20種類以外のフォーマットも希望に応じて対応可能としています。
ゼンリンデータコム、全国の神社仏閣を網羅した訪日外国人向けの観光マップを提供開始
株式会社ゼンリンデータコムは9月3日、同社が提供するソリューションの活用事例を紹介するショーケースサイトの第一弾として、神社仏閣に特化した訪日外国人向けの観光マップ「Shrine&Temple Map」を提供開始しました。
同サイトは、ゼンリングループが保有する空間情報データベース基盤を活用し、日本全国の神社仏閣を網羅した観光マップサイトです。ゼンリンが調査した全国約21万件の神社仏閣データをもとに訪日外国人向けの神社仏閣に特化した観光マップを作成することが可能で、地図の多言語表示(日本語・英語)が可能。地図のズームレベルごとに道路形状や施設名の表示・非表示も設定できます。
ユーザーはウェブサイト上で行きたい神社仏閣を選択し、効率の良い移動手段を考慮したルートを確認できます。最適巡回エンジンを活用して、滞在中に1カ所でも多くの観光スポットを訪問できるプランを提案します。また、東京23区内では、ゼンリンが独自に整備した駅出入口の360度画像を表示することもできます。
さらに、混雑データを活用して人気度スコアを付与し、人気度の絞り込み表示を行うことも可能で、初来訪者にはメジャーなスポットを、リピーターにはレアなスポットを提案することもできます。